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一哉と気まずくなってから、私は明弘とばかり一緒にいた。
「唯~ちゃんと友達作れって!このままだとまた小学校のときの二の舞になるから…」
「嫌…アキがいればそれでいいもん。女の子は怖いから嫌なの」
小学校の高学年になってから私は、明弘と一哉のことを好きな女の子たちを中心に無視されていた。
ピアノのレッスンがあるからと、あまり遊びらしい遊びをしてこなかった私は、女の子の中で確実に浮いた存在だった。
そんな私が、みんなの王子様である二人を独り占めしているように見えたらしい。
実際二人の隣に執着したのは嘘ではないけれど、私達の間に、愛だとか恋だとかそんなものは
―――なかったんだろう。
私達の間にあったものに名前を付けるとすれば、私の一方的な依存や執着といったものなるはずだ。
事実、一哉にも明弘にも普通の『友達』は大勢居た。
何はともあれ、最初は微妙な空気だったのが、次第に無視されるようになってしまった。
それを明弘が庇うものだから余計に悪循環になっていく。
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