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一哉は突き放してくれたけれど、明弘には泣き付けば助けてくれるのを知っていて……
明弘の優しさが心地よくて、自分で闘うことを放棄していたんだ。
一哉だって結局は優しいから、明弘を諌めて、私を一人にさせることなんてできるはずもなかった。
そんな二人にとことん甘えていた私は、残酷なまでにコドモだった。
「俺に彼女でもできたらどうすんの?唯淋しくなるよ?」
「できないように、べったり張り付くから安心して」
明弘のほっとしたような、はにかむような笑みの理由さえわからないままのコドモだった私。
「マジかよ」
「マジだよ-」
私をとことん甘やかす明弘の傍の心地よさに逃げていたんだ。
一哉が離れた理由さえ気づかないままの幼さは、一番傷つけてはいけない人を傷つけてしまった。
「女じゃなかったらいいんだな?!男友達ならうまくやれる?!」
「多分ね」
男の子は私を明弘の付属品とみなしてくれるから気が楽だった。
「わかった。……裕人ぉぉ!!」
明弘が窓際の席で屯(たむろ)する一群に声をかける。
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