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「葵はなりたいもんとか、やりたいことねぇの?」
「なりたいもの……。あ、あるよ」
顎に手を添えて、考え込む様に少し首を傾げる。
「なになに!? 俺お前の夢とか聞いたことないし 気になるんだけどっ!」
ドキリと胸が鳴った。
同時に ズキリと、胸が締め付けられる。
―ほんとに、この人は、なんで、こう、無自覚に、残酷なのかな
「……まだ、内緒」
動揺を悟られない様に、無理矢理笑顔を貼り付けて、唇に指をあてる。
なんだよー、と唇を尖らせて拗ねた子供みたいな顔をする陸斗が、なんだか可愛く見えて、くすくすと笑った。
「あ、やっと笑った」
「え……?」
陸斗の放った言葉に訳が解らず、気の抜けた声で返事を返した。
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