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「俺は中道陸斗。陸斗って呼んでくれな! お前は?」
ニカッ っと効果音が就きそうなくらい綺麗に微笑まれた。
急に言われても、っとたじろいで返事を返せずにいると
「ゆっくりでいいから、言ってみ? お前の名前。それとも、俺とはダチになりたくないか?」
悲しそうに聞かれて、そんなことないっ! と
勢いゆく首を横に振る。
一度、深く息を吸って、吐く。
「……あの、えと、羽柴葵…です」
意を決して、口を開いたが、蚊の鳴くような、小さな小さな声しか出なかった。
でも、彼にはちゃんと伝わっていたみたいで
「そっか…、葵な。いい名前じゃん!」
嬉しそうに笑いかけてくる陸斗くんに、こっちまて嬉しくなってきて、緩く微笑んで、ありがとう、と呟いた。
「…お前、笑うと更に可愛いな。」
ボソリと呟いた言葉は、葵には聞こえていなかった。
「あ、てか葵って呼び捨てにしてもいいか?」
「……いいよ。僕は陸斗くんって呼ぶね」
聞こえるか、聞こえないかの微妙な声で、了承の返事を返した。
「おぉ。よろしくな、葵」
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