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桜の花びらがヒラヒラと風に舞う並木道
道に積もる花弁はまるで、野原いっぱいに咲くコスモスのよう。
その中にポツリと制服のまま佇む2人の青年
その瞳はどこか、遠いところを見ていた
―あ……あの時と似てる。
「…なんか、これって僕たちが初めて会った時みたいだね」
1人の青年が、ふんわりと笑った。
「確かに…そっくりだな」
もう1人の青年が、ゆっくりと散ってゆく花びらを見ながら興味なさげにポソリと呟いた。
相手の返答に、少し、苦笑いしながら青年が口を開いた。
「もうすぐ、僕たちも3年になるんだね……
来年は大学かぁ……早いなぁ……」
ふわりと笑った青年、羽柴葵(はしばあおい)は、雲一つない空を見上げた。
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