柔らかいトゲ

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街が眠りについた。 聴こえるのは音だけ。 震える身体。 食い込む痛さ。 まだ、思えない。 独りじゃない。 一人じゃない。 ひとりじゃない。 呪文のように 言い聞かせる。 揺らぐ意識の 片隅に。 真綿でくるまれるように 締め付けられるのは、 何? おとぎ話のヒロインじゃないから、 優雅には振る舞えない。 それで、いい。 それが、いい。 海の押し寄せる、 声を聞いて。 大地の熱を生み出す、 鼓動を聞いて。 今、トゲに捕われる、 自分を開放して。 眠っている可能性を、 信じて。 震える身体。 食い込む痛さ。 大丈夫、なんて、 まだ、思えない。 でも、希望は、 いつも心にあるから。 大丈夫になる日が きっと、来る。 きっと。
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