†出会い†

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メールの送信ボタンを押して、僕は深く溜息を吐く。 何処の誰だか解らないけれど、失礼な事をした上に心配までさせてしまった。 本人が目の前にいたら赤面で土下座ものだ。 メールの返事は恐ろしい位早かった。 「そうですか…ごめんなさい。私も動転していて…最初に「別人ですよ」って書けば良かったですね。相手は彼女さん、だったんでしょうか?…なら余計にごめんなさい。」 あまりに謝るので、僕は何だか申し訳なくなって、返信した。 内容は大まかに言うと こちらこそ迷惑かけた上に心配までさせて悪かった。 結果が悪かったのは自分のせいだから気にしないで。 みたいな事を書いた。 向こうから素早く返信が来た。 僕は多分この人は女の人なんだろうなぁ、なんて思いながら返事を読んでいた。 メールの言葉遣いや何かに優しさが滲んでいる。 僕は…何故だかこの人に興味を抱いた。 僕は返事を急いで打った。 「貴方の名前は?」 しばらく返事は来なかった。 10分位して、着信音が鳴った。 「私の名前はマリアです。何回もメールしてるのに、名前を言ってませんでしたね。ごめんなさい。」 そうして 「また良かったらメール下さい。」 と書いてあった。 それが始まりだった。 ††† 彼女…マリアは僕よりかなり年上だという事。 文筆業をしている事。 そして僕と同じクリスチャンだという事。 兄弟は僕と同じ四人兄弟だという事。 そんな他愛のない話しをやり取りした。 僕は現在大学に行きながら働いている事。 ダンスや歌が好きな事… 後、ウェイクボードとドライブが趣味な事…本当に他愛のない事ばかり書いた。 彼女は「歌やダンスが好きなんだ…羨ましいな。」と返事をくれた。 僕はその時、彼女について何も知らなかったから、何気なく読んで、それで普通に「ダンスや歌って楽しいよ。」と書いた。 僕はその時彼女の本当の事を何も知らなかったんだ。 何も…何も解ってなかった。 彼女がどんな気持ちでメールを読んだかなんて。 †††
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