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その後も不可解な言動、行動を起こすも問題なく放課後へ時は進んだ。
チャイムが鳴り響き、生徒達が一斉に出ていく。
約束通り美優は席に座っている。
「それで?何の用かな桜君?」
微笑みを桜に向ける美優。桜はその笑みを見た途端、昨日の夜から徹夜で考えた告白の言葉が吹き飛んでしまった。
「えっと……ほっ、本日はお日がらもよく」
「え?何言ってるの?」
極度の緊張のせいか、桜は自分が何を言っているのかわからなかった。
(しまった……こうなったら直球で)
そう考えるも中々声が出ず、沈黙が続く。パクパクと桜が口を動かすだけである。
痺れを切らした美優が口を開く。
「桜君?落ち着いて」
苦笑して桜を宥める。それはそうである。桜はガチガチと震えているからだ。
「ゆっ、雪田さん!」
「はっ、はい」
決心がついたのか美優に声をかける。
いきなり声を上げた桜にびっくりしたのか美優は身を固める。
「おっ、俺!雪田さんの事が……すっ、好きです!」
「えっ?」
やっと言えた、そう思いながら強くつむった目を開いて美優を見た。
「ありがとう」
ニコッと笑む美優。
「それなら!」
「ごめん!」
期待の満ちた目で桜が言った。が、美優は桜の言葉を遮り謝った。
「……え?」
「ごめんね?私、彼氏いるの。だから、その、気持ちは嬉しいんだけど……」
桜は一瞬で落胆した。暗い足付きでとぼとぼ美優から離れていく。
「桜君?」
美優が声をかける。心配になったからだ。何せ、暗いオーラが桜の周りに漂っているからだ。
「雪田さん。今日の事は忘れてね……」
桜は返事も聞かないまま教室を出た。
桜の心情は辛い物があった。まさか彼氏がいるとは思いもしなかったのだろう。しかし事実、これを受け止めた時には学校を出た時であった。
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