保釈

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私は泣かない。 泣いても何も解決しないからだ。 泣いて全てが水に流れるのならいくらでも泣くことは惜しまない。 だが、泣いても何も変わらないのだ。 泣いている時間があるのなら、他に考えてやるべきことがあるはずだ。 父は 「今日は特別にタクシーで帰ろう」 と言った。 私は拘置所から自宅に向かうのは初めてのことになる。 だから釈放されて帰宅する日が“特別”という訳ではない。 しかし「今日は」という父の言葉でいつも電車を何本も乗り継いで面会に来てくれていたことを察することができた。
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