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服役先を言い渡される日は朝食を済ませオヤジが呼びに来るのを房で待つ。
廊下から隣の房の者に「荷物をまとめて廊下に出ろ」と言っているオヤジの声が聞こえた。
きっと次は私の番だ。
しばらくして反対側の隣の房からオヤジの声が聞こえた。
そして、そのオヤジはその次の房に移動している気配だ。
私は飛ばされている。
一瞬、忘れられているのかと思ったが、今、出房している連中が川越組だとしたら、私は川越組に入っていないことになる。
もしかしたら市原に行けるのかもしれない。
保釈から拘置所に戻った時に保釈前に居た房に戻れたこと、入浴中にしゃべったと疑われたが何事もなく済んだこと、熱の出た日が週末だったこと…
全ては私にツキがあったからかもしれない。
本当にツキがあるなら市原に行けるかもしれない。
私はそう思った。
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