第一工場

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工場を担当する刑務官は滝沢といいとてもユーモアのあるオヤジだった。 朝、作業前に朝礼がおこなわれるが整列する受刑者に対し必ず冗談をひとつふたつ言い、笑いを誘った。 川越では絶対にあり得ないことだ。 皆、滝沢の冗談に笑い「今日も一日よろしくお願いします」という気持ちで作業をしていたと思う。 工場はかなり広いプレハブの建物だ。 滝沢は必ず工場のどこかにはいるはずだが、必要以上に巡回することはない。 仕事のほとんどは受刑者に委ねられている。
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