交通刑務所物語

東京拘置所

布団は、三ツ折りにした敷き布団を８人分積み重ねた上に、四ツ折りにした掛け布団を８人分乗せる。
更に四ツ折りにした毛布に八ツ折りにしたシーツを乗せ、その上に枕を並べる。

入口から見て右側の壁に着くように畳の線に合わせて積んみ上げる。
布団類の左手前の角がぴったりと真っ直ぐに揃っていないと巡回している看守にやり直すように怒鳴られる。

既に積み上げられている布団は新入房で私たちがやってきたそれとは違い、芸術的とも言える位、きれいに積み上げられていた。

７人分の既に積み上げられている角の揃った布団に、自分の布団をきれいに割り込ませるのは神経を使う作業だった。

その作業は、自分と同じ位の歳に見える細身の坊主頭の人が手伝ってくれた。

布団を片付け終わり、支給されている座布団とは言えないような薄い座布団を、縦長の机の入口に一番近い位置に置き腰をおろした。

これからが本格的な拘置所生活のスタートだ。