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前説
前書きに入る前に、ひとつの大前提を。
デジタルシンセが現場や市場でも主流となっている現代、なぜにここにアナログシンセの解説を説くのか。
アナログシンセが誕生したのは60年代。それからおよそ半世紀が経ち、アナログシンセはデジタルシンセにかつての座を受け渡し、モデリング技術によって再現されるも、今やデジタルシンセの活躍の場は多い。
しかし、ここで忘れてはならない事実がある。
それは、現在のシンセサイザーや電子キーボード、デジタルピアノの基盤を築いたのは、間違いなくアナログシンセであるということ。
当時モジュラーシンセサイザーという、現在主流のデジタルシンセの姿からは想像できないくらいの、途方もなく大きなシンセサイザーが存在し、その得体の知れない機械に奇しくも挑んだ好奇心旺盛なミュージシャンたちは、パーツをとっかえひっかえ、音を作る手順を試行錯誤し、ある手順をもってひとつの音を完成させることが出来た。
その手順こそ、VCO→VCF→VCAという一連の流れを持つものだったのである。
そう、現在のデジタルシンセサイザーに採用される「減算合成方式」による音作りの流れは、この時代に築かれたものなのである。
現在、アナログシンセはデジタルのシミュレーションによってかつての脚光を浴びるようになり、ブームを巻き起こそうとしている。
これもひとえに、その当時からの続く技術が現代にも生かされてきたという証であり、手作りの基本を省みることで、新たなる音作りの方法が見出されよとしているからではないだろうか。
半世紀もの間、その方式が守られてきた理由はほかでもない。
その簡潔さと、構造のシンプルさにある。
それは、シンセサイザー初心者でも、その構造を理解するに易く、扱いやすいからである。
このアナログシンセ解説書では、それらの機能、手順、効果をなるべく解り易く解説しようと思う。
これを切欠に、アナログシンセばかりではなく、デジタルシンセでの音作りの楽しさ、実用性をご理解頂ければ幸いである。
この解説書を参考していただける読者の方に、多大なる感謝を。
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