音色

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この倍音構成を生成させる方法「加算合成方式」の元祖はパイプオルガンで、さまざまな音高や音色のパイプを数多用意し、それらを組み合わせることで1つの音を作り上げていました。 音のバリエーションを増やすために、パイプの素材や長さを数多用意することで、さまざまな音色を形成させます。 しかし、原理的に理にかなう構造ながら、現実音は「パイプオルガン」の音であり、決してピアノや他の楽器の音色には成りえなかった。 それほどまでに、この「倍音」を構成させることは至極難しいことでした。 加算合成方式はデジタル技術の発展と共に、その可能性を存分に発揮することとなる。 デジタル技術により、高速演算を利用し、倍音の一つ一つの干渉を設定することで、楽器音を算出させるのである。 しかし、おおよそ最大で127個もある倍音を1つずつ設定するには、非現実的であり、多大な時間を要するものであるがために、「あらゆる音を再現できる方式」でありながら、常に「場数の少ない」方式となってしまっている。 現在主流となっている合成方式は、この加算合成方式とはまったくもって逆の方法を持つ「減算合成方式」であり、これはあらかじめ非常に明るい音を生成し、そこから「倍音を削る」フィルターによる加工で、音色を求めるものである。 構造としても加算合成方式よりも遥かに単純な構造によって形成できるため、そして何よりその構造の簡潔さに理解のし易さもあり、従来よりシンセサイザーの音作りの王道の座を得たのです。
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