幸せの在処

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屋敷の者が全て反対する中で、それを押し切って雪花は朱羅を自分の従者にすると宣言した。 その結果、須王から与えられた試練が、雪花一人の力で、朱羅の身に封印を施す事だったのだ。 『その者の額に宿る第三の瞳、それが阿修羅の力の源。滅する事は何人にも出来ぬ。この儂の力を持ってしても。だが、封印を施し、その瞳を眠らせる事が出来たなら……』 『無事それを成し遂げたならば、私がこの者を従者とする事、お許しいただけるのですね?兄上』 『そなた、死ぬやもしれんぞ』 『ならば私の命運も、それまでだったというだけのこと』 『……そうまで申すならば、好きにするが良い』 --そうして雪花は、見事に封印をやってのけた。 簡単だった、わけではない。 丸四日かかった。 飲まず、喰わず……もちろん一睡もせず。 少しでも気を緩めれば、あっという間に焔にその身を焦がされ、灰と化す。
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