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「ずっと一緒にいよう、朱羅」
昔のように、共にあろう。
--朝も、昼も、ずっと。
これから続くであろう、幾億の夜も、こうして抱きしめ温め合おう。
二つの命が、共に尽きるまで。
「いつか果てる時が来ても、その時も一緒だ。もう二度と、置いてなんかいかない」
子供をあやすように、あやめが朱羅の白銀の髪を優しく撫でると、彼は黙って頷いた。
「…おやすみ、朱羅。良い夢を」
腕の中、朱羅がゆっくりと全身の力を抜いていく。
預けられた重みを心地良く受け止めながら、あやめは微笑みを浮かべ、彼の額に口付ける。
--こんな幸せが、他にあるだろうか。
甘い、甘い至福の夜に浮かぶ月は、今宵も優しく二人を見つめていた。
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