禁断の記憶

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 ◇ ◇ ◇ 「え、……デート?」 朝食中、突然出された聞き慣れない単語に、あやめは思い切り眉をしかめた。 「はは、何その顔。したことないの?デート。…あ、あったらマズイか」 プッと吹き出した宗一に、朱羅が鋭い一瞥を投げる。 「せっかくお天気も良いのですもの、行っていらしたら如何です?」 「う~ん…」 正面に座る刀祢が、一旦箸を置いてから、そう言ってニコリと笑んだ。 「デートは…嫌ですか?」 隣から、覗き込むように朱羅が問い掛けてきたため、慌てて首を横に振る。 「嫌じゃない!嫌なわけないっ!!…じゃなくて、なんか…」 「……?」 「なんか、朱羅がデートとか言うから変な感じがして」 「あははははははっ!分かる~」 あやめの言葉に、宗一が異常な程うけている。 悪いと思ってか、刀祢は口元を抑え、視線を外して俯いていた。
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