禁断の記憶

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口ではそういうが、人をからかうことを生き甲斐にしているような男だ。 とても信用は出来ない。 「あ、もしかして疑ってる?やだなぁ、僕だってそんな暇じゃないんだよ。ちょっとやりたい事もあるし。まぁ、変な心配しないで楽しんできなよ」 暇じゃない、とはどの口が言ったものか。 家にいる時の宗一は、家事をする事もなければ、横になってテレビを見るくらいしかしていない。 だが、そこまで言うからには付いてくる事もないだろう。 「夕食までには戻る」 それだけ言って自室に向かう朱羅の後ろ姿を見送ると、宗一は猫のように体を丸めて伸びをした。 「さて、と。それじゃあ僕も出かけるとするか」  
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