禁断の記憶

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”--なぜ、お前が…” そう問いかけるより早く、時が動き出した。 『うわぁあぁっ!』 『御前っ!!』 一瞬手の止まった雪花に向かって一人の兵士が刀を振りかざす。 だが、それが届くより早く、朱羅の刃がそれを受け止め、直ぐ様敵を切り伏せた。 血飛沫が妙にゆっくりと宙を舞う。 その向こう側に凪がいる。 互いに目を背ける事が出来なかった。 『一端退きましょう。多勢に無勢で、味方の数を無駄に減らすばかりです』 朱羅の声もどこか遠く、何もかもが作り事のように思えた。
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