禁断の記憶

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「いつか本当に迎えにきてくれたなら、その時私はそなたの家族になろう、と。そう…言わなかったか」 「ああ。覚えているよ」 「その約束を、あなたは反故にするつもりなのか?」 握りしめる手に力が入る。 静かに首を振ると、雪花は優しく、幼い子供に説いて聞かせるように言った。 「影明、私は人間とは違う。約定とは、我々にとって時として命を奪うことにもなりかねない重いものなのだ。違えることはない」 「なら…っ!」 ぐいっと体を引き寄せられ、雪花は影明の腕に縛られた。 「ならばちゃんと、約束を叶えてくれ。俺は、あなた以外の女を妻に迎えるつもりはない」 驚きに目を見開く雪花に、背ける間も与えず影明の顔が近づいた。 ---パンッ! 一瞬の口付けの後、部屋に乾いた音が響く。 反射的に影明の頬を叩いてから、ハッと我にかえって雪花は謝罪した。 「すまぬ…つい手が出てしまった。しかし、今のはそなたも悪いのだぞ。何故突然このようなことを……」 彼女にいつもの勢いがない。 困惑と狼狽の色が、琥珀の瞳に滲んでいる。
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