プロポーズ

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  「はぁ…」   加奈子は悩んでいた。   6年間付き合ってきた彼、洋一にプロポーズされたのだ。   ずっと付き合ってきた彼女が何故今更悩む必要があるのだろうか。     「洋一さんはいい人よ。でも…」     そう、洋一の行動に対して、妥協に妥協を重ね続けて来た加奈子はもう疲れていたのだ。   洋一が遠距離は寂しいからという理由で行きたい大学を却下され、入りたくもない市内いある短大に進学。   就職先もせっかく市内の大会社に決まったのに、これもまた彼が 『短大を市内で妥協したのに就職まで市内だなんて嫌だ』 と言う理由で、せっかく慣れてきたのにわずか2ヶ月で無理矢理退社。   連絡せずに飲みに出掛けたのが気に食わなく、短大時代の友達と連絡を取ることすら許されず、彼女のケータイのメモリには家族と洋一が知っている地元の女友達が3人入っている程度…親戚すら許されない。     「こんなに束縛が激しくて自分勝手な人と別れた方が…でもそしたら今の私には何が残るってゆうの…」       そして彼女には別れることが出来ない理由がまだあった。  
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