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春哉の部屋に入ったのが夕刻の五時でその後本をしまっていたために一冊目を読み終わった頃には七時になっていた。七時半になった頃、突然壁を激しく叩く音が鳴り響いた。その突然の大きな音に二人は驚いたが、それは母親が一階から二人を呼ぶために手っ取り早く壁を叩いた音だと直ぐに分かった。
「あ、もうこんな時間になってたのか…。母親め驚かせやがって…。」
「あたしも凄いビックリしちゃった。」
その様な事を話しながら二人は一階へと階段を降りていく。
「呼んでもなかなか降りてこないから壁を叩いて呼んだのよ。振動が伝わるでしょう。」
「声で呼んでたっ…け?」
「す、すみません。聞こえませんでした。」
静かにノートを読んでいたというのに本当に、全く二人の耳には届いていなかった。
「あらあら良いのよ。若いんだから。」
母親はとんでもない方向に勘違いした模様だった。
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