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唯奈が手伝ったお陰で荷物は大分片付いた。春哉の新しい家は築五年の割と小綺麗な一軒家。前に住んでいた人はつい最近引っ越したそうだ。春哉の両親は築五年なのに安い値段だったこの家を買った。まさに好都合な時期に空いたのだ。
「いいなあ春哉は。」
「何がだよ。」
「こんな綺麗な家に安値で住めるなんてさ。私もこの家に住みたいくらい。」
「ま、俺は¨幸運¨の持ち主だからな。」
買ったのは両親だというのに得意げな春哉。だが、この¨幸運¨は本当に春哉の力なのかもしれないと唯奈は思っている。何故ならば春哉は過去一度もジャンケン、くじ引き、席替え、マークシート等々で不利な結果になったことがないからだ。ジャンケンで負けた方が良い結果のときは負けている。そのせいで唯奈も春哉と勝負をし、何度も悔しい思いをしたことがある。
「¨幸運¨自慢はいいから。」
呆れ気味で唯奈は言う。そこに春哉の母親が来る。
「唯奈ちゃん今日は本当に助かったわ。良かったら晩御飯食べていく?」
春哉の母親は唯奈のことを良く思っている。春哉に嫁がせたい勢いで。
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