太陽な君。月な俺。

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「どうしてそうなる! ってかなんでいきなりピクニックに行こうと思ったわけ?」  俺がぶっきらぼうにそう尋ねると、美羽は目をキラキラさせながら俺の手を掴んだ。美羽の手はとても冷たくて、まるで俺の体温をもっていかれるのではないかというほどだった。 「父から聞いたんだ。『今日は雲がほとんどなくて、空気も乾いているから星が良く見えるぞ』って! この前、星や月があまり好きではないと言っていただろ? だから今日は君にも好きになってもらおうと思ってな!」  そういうことね。確かにお前星とか月とか大好きだもんな。まったく。  このクソ寒いなか俺と天体観測するためにわざわざ自宅から歩いて30分もかかる俺の家まで迎えにきたのか。しかもそんなパンパンに膨れあがったリュックまで持って。  バカだねぇ本当に。もし俺がかたくなに行くのを拒んだらどうするつもりだったんだよ。まぁ現在進行形で行くのを拒んでいるわけだが。  しかたない……そんなキラキラした目で見られたら、どうにもノーとは言えなくなってしまった。本当に甘いな、俺。 「はぁ~~とりあえず中に入れ。外で待ってんのは寒いだろ」  俺はそう言うと、美羽を部屋の中に招き入れ、ドアを閉める。美羽は部屋には上がらず、玄関の前にリュックを置いた。 「さぁ、早く準備して行こう!」 「わかったからそう急かすな」  俺はすぐにパジャマから私服に着替える。  そして着替え終えると、俺は茶色いダッフルコートに腕を通しながら美羽に「いくぞ」と声をかけ、靴を履き外に出る。ひんやりとした冬独特の寒さが肌をなでるのを感じ、俺はブルっと体をふるわせた。
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