太陽な君。月な俺。

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 俺は素直に美羽の隣に座る。すると美羽は天に指先を向け、俺に空を見るように促す。そういえば、俺達星を見に来たんだった。もうここまで来る過程がつらくて、本来の目的をすっかり忘れていた。  俺は普段より重く感じる頭をゆっくりとあげた。 「…………」 「どうだ? すごいだろ!」  言葉を失った俺に、美羽は満足そうに声をあげた。美羽の言うとおり、すごい光景だった。黒いキャンパス一面に広がる無数の星達。一つ一つが淡いピンク色の光を放っていて、まるで宇宙に咲く満開の桜を見ているようだった。その端では、まん丸いお月さまが優しく俺達を見つめている。  幻想的だ。これが素直な第一印象。だけど……とても美しい光景なんだけど、やっぱりどこか切ない気持になる。 「ん? どうしたんだ?」  何も言わない俺の見て、美羽は顔を覗き込みながら尋ねてきた。 「いや、確かにすげぇと思うよ。綺麗だ。だけど、やっぱりなんだか星とか月とか、あんまり好きになれないんだよな」 「どうしてだ?」  俺の答えに不満なのか、美羽はプクっと頬を膨らませ俺を見つめる。  「だって、あれだろ? 星とか月とかって太陽の光を借りて輝いてるんだろ? なんだかカッコ悪いじゃん。一人じゃ生きていけないみたいでさ」  どんなに美しく輝いたって、それは太陽のおかげなわけで、結局は自分の力じゃない。俺はそうはなりたくない。そのために一人暮らしを始めて、バイトで学費を稼いで、どうにか自立したんだ。 「私は別にそれでもいいと思うぞ」
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