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しかし、そんな気持ちとは裏腹に、龍馬は軽快に笑った。
「わしは坂本龍馬。おんしの名は?」
「初めまして。あたしはサク」
「呼び名じゃのうて、おんしの名を教えてくれんか?」
サクは僅かに顔をしかめた。
龍馬から岡田に視線を移す。
「以蔵、あんた言ったでしょ」
おお怖、と岡田は肩を竦めてみせた。
息を吐き、サクは龍馬へ視線を戻した。
「じゃあ聞くけど…」
サクの目を見て、龍馬は思った。
「何故教えなきゃいけないの?」
彼女の目は、まるで硝子玉のようだった。
ものを映すだけの、硝子玉のようだった。
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