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当然、上は天井である。
龍馬を見て、岡田は小さく笑みを浮かべながら湯飲みに口をつけた。
龍馬が天井を睨み付けていると、
「あら、今回の依頼主は勘が良いのね」
女の声が響いた。
天井の一部がカタリと開き、部屋へと降り立ったのは。
蓮とそっくりの美しい女だった。
切れ長の左目で射抜くように龍馬を見つめる女。
艶やかで長い黒髪は高い位置で一つに結ばれており、前髪で右目が隠れている。
首元は布でグルリと巻かれ、袖が無く丈の短い着物を身に纏っている。
身軽さを重視した為の装束だろう。
露になっている右腕の上膊には、刺青が施されていた。
だが、その上を刀傷が斜めに横切っており、何の模様かは判らない。
【変わった女子(オナゴ)じゃのう。しかし、刺青か…】
前科者、なのだろうか。
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