第一章 成立

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サクはただ、じっと龍馬を見つめていた。 「何故名を教えなければならぬのか、じゃな?それは…」 龍馬はさも当然のように答えた。 「わしが知りたいからじゃ」 サクの目が僅かに見開かれた。 岡田は物珍しそうに龍馬を見ている。 そんな二人に構わず、龍馬は続ける。 「まァ無理強いはせん。いつか教えてくれたらそれでええ」 と、龍馬が白い歯を見せて笑った。 それに対しサクは目を細めた。 が、すぐに表情は無愛想に戻る。 「で?依頼は何?」 「用心棒?」 「あたしに聞かないで」 一蹴されてしまった。 そのとき襖が開き、 「御代わり持って来ましたよ。お、久し振りだな、サク」 「久し振り」 蓮が餡蜜と共に戻ってきた。 待ってました、とばかりに目を輝かせる龍馬。 餡蜜を受け取り、いざ口に運ばんとしたとき、龍馬はピタリと止まった。 「あ、忘れとった」
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