(Ⅰ)出会い

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  「あっ、もうこんな  時間じゃないですか!」 ユキが布団の傍らに置いてあった携帯を開いて、時間を確かめる。 おい、まて、それは俺のだ。 「何急いでるんだよ」 必死に本の中から抜け出し散らばった本を重ねる作業の中、ユキは俺の裾を引っ張った。 「出掛けますよ。  私行きたい所があるんです。  せっかく目覚ましを  六時にセットしたのに……」 こいつ、人にプライバシーだの言ってたのに俺のプライバシーは無視かよ。 しかも何だ、行きたい所って。 「そんな面倒な事……」 「忘れないでください。  貴方は私の我が儘を  24時間だけ聞く  約束をしたんですからね」  
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