(*)最期の言葉

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  ふわり ふわり 真っ白な地面に寝ている少女に雪が落ちる。 静かに、優しく、少女の上に落ちる雪。 少女の上に落ちる雪は溶ける事なく積もっていた。 「ありがとうございます」 虚ろな瞳を隣に座る男性に向けて微笑む少女。 「私の我が儘聞いてくれて」 雪に少しピンクを足した色の唇がゆっくり動く。 「ああ、本当に大変だった」 男性は苦笑いで少女に答えた。 少女の顔を覗き込むように下を向いているので、髪から雪が落ちる。 それを鬱陶しいとも思わず、ひたすら少女の顔を見ていた。  
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