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それはとある昼休みの出来事だった。
iポッドから流れる音楽を聴きながら弁当をつついていると、
「ちょっと寺田くん。なに、それ」
イヤホンをつけているにも拘わらず、その声ははっきりと聞こえた。
「弁当だけど」
俺は声の方を見向きせずそれだけを言う。
「そうじゃなくて。その耳から出てるものよ」
「ああ、それはただの耳毛だから気にしないでくれ」
俺の昼飯時を邪魔するな。腹が減っているんだ。
半ば無視するようなかたちで弁当を食い続けていると、隣から異様な雰囲気を感じた。
怒ってますね、すごく。すごく怒ってます。
オーラが半端じゃない。
これは、殺られる!
「天上の光よ――闇より降り注ぐ神秘の輝きよ――」
なんか詠唱始めやがった! まじやばいマジヤバイって!
「我が力の一部となりて――破滅と創造の宴を奏でたまえ!」
「ま、待て! それだけは勘弁して――」
「もう遅い!」
その少女は、アニメ雑誌を片手に、天高く腕を掲げた。
あ、これ、死んだな。
「デーモンヘヴンズレイ!」
光が、降り注ぐ……。
ぐわああああああああああああああ!
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