第一話

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 午後の授業中は、山音アツに没収されたiポッドの奪還作戦の計画に費やした。友人の北山雄也にも手伝ってもらい、計画は着々と固まっていく。 「よし、あらかた決まったな。後は実行するだけだ」  雄也と共に立案した計画はこうだ。  現在、俺のiポッドはアツのカバンの中にある。この状態では回収は不可能だ。人目がありすぎるし、何よりアツ自身に見つかってしまう。  唯一の隙は、放課後、アツが風紀委員室に没収したブツを運ぶ瞬間だ。カバンからiポッドを取り出し、ロッカーに入れるまでの、その一瞬を突く。  かなりシビアなタイミングが必要とされるが仕方ない。他に手は無いのだ。  俺は風紀委員などに屈しない。断固戦い、必ず勝利してみせる。 「しかし、相手はあの山音アツだぜ。そう簡単にはいかないだろ」  雄也が小声で言う。 「わかってるさ」  なにやら意味の解らない魔法を使ってくるしな。デーモンヘヴンズレイとかなんとか。  まあ、何だろうと構わない。ただiポッドは返してもらう。あれは俺のライフパートナーなのだ。 「ついでにフラグもたてちまうか。なあ光希」 「まだ早い。今日のところはささっとiポッドとCGを回収して終わる。できれば好感度を上げておきたいが……まあ多くは望まないさ」  決戦は、放課後だ。
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