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エレベーターのドアが開くと同時に、食欲をそそるスパイシーな香が真琴をくすぐった。
(あ、そぉ言えばおじさんが今日はカレーだって言ってたっけ)
カレーは真琴の大好物だ。特に『おじさん』
の作るカレーはスパイスを何種類も使う本格的なもので、
どんな店にも負けない絶品だと真琴は思っている。
マンションの廊下を歩く真琴の足は小走りに近くなっていた。
真琴の住むエレベータホールから右へ3軒目。だけどそのドアの前を通りすぎ、
真琴はお隣の呼び鈴を押した。
「お帰り~、マコちゃん」
「ただいま!今日はカレーねおじさん。私おじさんのカレー大好き!」
エプロン姿のおじさんに迎えられ、まるで自分の家のようにズカズカ上がり込む。
「ちょうど出来たとこよ。圭司(けいじ)呼んで来てくれる?」
いそいそとキッチンに戻るおじさんは、
見た目はごく普通の中年男性だ。
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