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パソコンデスクに向かっていた圭司がため息をついて振り返る
「真琴、いきなり開けるなって何度も言ってるだろ」
「いいじゃない、別に。急に開けられてなんかまずいことでもあるわけ?見られて困ることしてたの?」
「別に困ることはないけどさ。もう子供じゃないんだから、男の部屋にノックもせずに入ってくんなっての。だいたい、他人の家だぞ、ここは」
「だあって、私、小学校の頃から自分の家よりここに居る方が長いんだもん。けいちゃんとだって、よくこの部屋で一緒に寝たじゃない。今更男の部屋とか言われたって……」
「マコちゃーん、圭司ー。何してんのー?」
キッチンからの呼び声で、二人のたわいない言い争いは中断された。
「はぁ~い。今行きまーす」
バタバタと戻っていく真琴を見送って、
圭司もゆっくりとリビングへ向かう。
彼もまた、父親のカレーは好物なのだ。
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