嘆きの湖畔

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「あら」  女の人だ。  よかった人間だと安堵した次の瞬間、容姿に目が奪われた。  すごい綺麗な人だ。大きな目、くっきりした二重。カラーコンタクトをしているのだろうか、瞳の色が薄い。鼻が小さく、唇はピンク色で、昔持っていた着せ替え人形に似ている。  肌はとても白くて、シミ一つない。  長いストレート。染めているのか自毛なのか、茶色い。  年齢は、私より幾分上、て所かな。  あの喫茶店の女の人も綺麗だったけど、また別のタイプだ。あの人はどこか外人ぽかったし、この人は髪の色も瞳の色も薄いけど、日本人、て感じだ。  黒い……コートだろうか? なんか魔女が着る服みたいだ。 「道に迷ったの?」 「えぇ、まぁ……」 「村へ行く道と森へ行く道を間違えたのね。あそこ分かりにくいから」  どうやら違和感のない話の様だ。 「よかったら、お茶でも飲んでいかない? 寒いし、暖まっていって。お客様は久々だわ」  なんと、お茶にご招待されてしまった。人見知りしないタイプみたいだ。 「さ、入って」 「あ、はい……」      
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