嘆きの湖畔

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 図々しくも、家の中に入ってしまった。  少し大きめのテーブルに赤い布がかけてある。この世界に来て初めて見る赤い物だ。暖炉の火が燃えている。 「今、薪が無くなって取りに行こうとしてたの。そこに座って暖まって」 「はい、ありがとうございます」  女の人は出て行った。  雑誌で見るような、ログハウスの家の中。  暖炉にテーブル、戸棚。子供の頃アニメの再放送で見た「赤毛のアン」に出て来るみたいな棚だ。中にカップが置いてある。  壁に絵が掛けてある。グラスにウイスキー。暖炉の側に椅子があって、その上に……ウクレレ?  それ以外には何も無い。小さいドアが見える。そのドアにリースがかけてあった。  見渡すと新しい感じはしない。結構長い事暮らしているのだろう。でもとても綺麗な感じだ、まめに掃除しているのだろう。きれい好きなのかな。  窓にカーテン。白地に綺麗な花柄。窓から湖が見える。ここから見ると、暗いのも通り越し、黒く見える。  殺風景な部屋だな。あの綺麗な家主とは対照的だ。物が少ないせいか、部屋が広く感じる。  あの女の人が、薪を抱えて部屋に入ってきた。 「あぁ、今日も寒いわね」  そんなに寒いかな? この人、薄着してるのかな。  リースのドアを開けて、ポットを持ってきた。戸棚からカップを取り出し、茶葉をティーポットに入れた。白地に赤い花、緑の葉の模様。ポットとカップはお揃いの模様。 「旅の人ね。そんな感じだわ」 「まぁ……」  てか、普段着なんだけど。  カップの上に、花形の皿のような物を置いた。あの店にあった、なんだっけ、ティー何とかっていう……。 「あの、これは?」 「ティーストレーナ。葉がカップに落ちるのを防ぐの」  あぁ、なるほど。私、自分でいれた事ないもんな。 「アッサムティーよ。私大好きなの」 「あ、私もです。色も赤くて綺麗ですよね。私は自分ではいれませんけど」 「まぁもったいない」
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