130人が本棚に入れています
本棚に追加
図々しくも、家の中に入ってしまった。
少し大きめのテーブルに赤い布がかけてある。この世界に来て初めて見る赤い物だ。暖炉の火が燃えている。
「今、薪が無くなって取りに行こうとしてたの。そこに座って暖まって」
「はい、ありがとうございます」
女の人は出て行った。
雑誌で見るような、ログハウスの家の中。
暖炉にテーブル、戸棚。子供の頃アニメの再放送で見た「赤毛のアン」に出て来るみたいな棚だ。中にカップが置いてある。
壁に絵が掛けてある。グラスにウイスキー。暖炉の側に椅子があって、その上に……ウクレレ?
それ以外には何も無い。小さいドアが見える。そのドアにリースがかけてあった。
見渡すと新しい感じはしない。結構長い事暮らしているのだろう。でもとても綺麗な感じだ、まめに掃除しているのだろう。きれい好きなのかな。
窓にカーテン。白地に綺麗な花柄。窓から湖が見える。ここから見ると、暗いのも通り越し、黒く見える。
殺風景な部屋だな。あの綺麗な家主とは対照的だ。物が少ないせいか、部屋が広く感じる。
あの女の人が、薪を抱えて部屋に入ってきた。
「あぁ、今日も寒いわね」
そんなに寒いかな? この人、薄着してるのかな。
リースのドアを開けて、ポットを持ってきた。戸棚からカップを取り出し、茶葉をティーポットに入れた。白地に赤い花、緑の葉の模様。ポットとカップはお揃いの模様。
「旅の人ね。そんな感じだわ」
「まぁ……」
てか、普段着なんだけど。
カップの上に、花形の皿のような物を置いた。あの店にあった、なんだっけ、ティー何とかっていう……。
「あの、これは?」
「ティーストレーナ。葉がカップに落ちるのを防ぐの」
あぁ、なるほど。私、自分でいれた事ないもんな。
「アッサムティーよ。私大好きなの」
「あ、私もです。色も赤くて綺麗ですよね。私は自分ではいれませんけど」
「まぁもったいない」
最初のコメントを投稿しよう!