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街はイルミネーションで輝いている。
「当日は雪が降るといいね」
「やっぱホワイトクリスマスだよね」
女子高生が笑いながら歩いて行った。元気でこの寒さなんか関係ない感じだ。そう言えばもうすぐクリスマスだ。
……大学時代の彼氏と別れてから、クリスマスなんて関係無くなった。
クリスマスと言わず、週末も関係ないんだけど。
今年のクリスマスも、家でテレビだな。見たい映画もあるし、DVDでも借りよう。
吐いた息が白くなって、冬が来た事を実感した。子供の頃、息が白くなるのが面白くて、はぁはぁ吐いたなぁ。
いつもと変わりない会社帰り。
私は会社では、相変わらず雑用しかさせてもらえない。入社して何年になるんだっけ? お茶汲みとコピー、資料運び……。
でもそれに対して不満を感じた事はない。悔しいとも悲しいとも思わない。後輩がどんどん仕事を任されていくのにも、何も感じない。
更に言うなら、退社しようとも思わない。
する事がないから、会社来てるだけだな。
DVDでも借りに行こうかと、角を曲がった。
本当に寒い。厚手のコート(薄くなったけど)を着て帽子被って、マフラーして手袋してるのにまだ寒い。
今通り過ぎた女の人が、スカートにパンプスだった。風邪ひかないの?
そんな事を考えながら歩いていると、足が止まった。
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