嘆きの湖畔

13/17
前へ
/187ページ
次へ
 大学を出て、今の会社に就職した。  同期の子達は何人いただろう? 確か40人位いたかな。その中で、同じ部署の子が7人いた。  何かの集まり……新入生の説明会だったかな。会議室に案内されて、私が入って行った。  なんか、雰囲気が違っていた気がした。私だけ浮いてる気がした。  もしかしたら、気のせいだったかもしれない。  あの時の私は、失恋が原因で精神状態が普通でなかった。大学時代、頼りにいた恋人が去っていった。  ──もう、おまえとは会わない。  言ってる事が、理解出来なかった。  まるで頭の上を何かが掠める様に、あの人の声が通りすぎた感覚だった。  声が出なかった。あの人が面倒臭そうに後ろを向いて歩いて行くのを、呆然と見ていた。  ──もう、お前とは会わない。  それからしばらくの間、壊れたレコーダーの様にその言葉が回っていた。現実がフィルターがかかったみたいに見えた。  だからそういう風に感じたかもしれない。もしかしたら、落ち込んでいる暗い雰囲気が、伝わったのかもしれない。  その後も、みんな飲みに行ったり、化粧品の話をしたりしていたけど、私はもう完璧に外れていた。  何がどうしてそうなったのか、自分でもよく分からない。  でも、もう彼女達の中に入ろうとは思わなかった。どうでもよかった。  仕事も思ったより楽しくない。  一度、会社を仮病で休んだ事があった。少し街をふらふらした。  でもそれもさして楽しくなかった。結局、部屋でテレビを見ていた。  友達と連絡を取ろうとも思わなかった。段々疎遠になっていった。  何も楽しくない。週末に出かける事も、さして無くなっていた。  
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

130人が本棚に入れています
本棚に追加