頓服

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 シャワーの後の、クーラーの効いた冷えた部屋、冷えたビール。コンビニから買ってきた弁当。  ……明日洗濯しないとな。  家事専門の女が欲しい。  沙織も由香も京子も頼めばしてくれるだろうが……。他の女は連れ込めなくなるな。て元々ここにはあまり入れないが。  て事は、やっぱ結婚か?  部長の姪。  将来は安泰かもしれんが……。それもあの部長が会社にいる間だけかもしれない。  浮気は許すタイプだろうか?  結婚すれば、みどりも俺に付きまとわないだろうか?  缶ビールをテーブルに置いて、俺は舌打ちをした。  俺ともあろうものが、選択を見余った。  二ヶ月前の、啓二と行った飲み屋でナンパした女。  じゃんけんに負けて、美人の方を啓二に取られた。  みどりは美人ではないが、どうせ一夜だけの遊びだ。はっきり言って体があればよかった。  ベッドテクニックは、まぁ愛よりは若干上かもしれんが、同レベルだった。  それだけで終わるはずだった。  後日、なぜかこいつから電話がかかってきた。  ──え、なんで俺の番号知ってんの?  ──啓二さんに教えてもらった。  どういう事だ? 啓二、番号教えたのか?  --メグミから電話着て、なんかお前がカード忘れていったみたいだって言うから番号教えたんだ。俺は急に出張入ったし、カードだっていうから早目にお前に渡した方がいいと思って。  メグミは一緒にいた美人の方だ。て事はあれから啓二は続いてるのか。  問題はそこではない。  ──カードって何のカードだ?  ──そこまでは聞いてない。クレジットカードか何かじゃないのか?  なくなったカードはない。その後みどりからもカードの話は一切聞いていない。  あの女の手か?  ともかく、あの女に俺の携帯番号が知れてしまった。  それから電話攻め、週末には絶対かかってくる。  はじめは仕事だ、用事があるとかわしていたが、一向に終わる気配がない。  仕方がないから、あれは一夜の遊びだ、お前と付き合う気はない、と冷たい口調で言ったら、 「体から始まる恋愛もあるんじゃない?」  ひるむ気配もまるでない。
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