悪夢のはじまり

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 7時の目覚まし。  それよりも早く、寒気で目が覚めた。  体の芯から冷えた感じだ、すぐに冷房を消した。しまった、消して寝れば良かった。  起き上がって窓を開ける。どうやら昨日よりは涼しいみたいだ。  トーストを焼いて、コーヒーを淹れた。  ……風邪でもひいたか、なんか体が熱い。  夏風邪ひくのはバカだっていう。困ったもんだ、人にバレないようにしないと。  自己管理の出来ない人間は無能だ。遠藤と同類だ。  薬飲む程でもない、かえって眠くなるかもしれない。  今日は会議がある、気力で乗りきろう。  それからプレゼンの資料まとめがある。あれは本当は遠藤の仕事のはずだ、あいつに仕事が溜まっている。そのせいで俺に回ってきた。勘弁してくれ。  コーヒーを飲みながらテレビをつける。  天気予報をしている、昨日より大分いいようだ。  熱いコーヒーを飲み込んで、俺は部屋を出た。  ラッシュの電車。  冷房が効いているが、幸いこの混雑で寒気は感じなくてすむ。  電車から出ると、もわっとした感触がしたが、風邪気味の俺にはちょうど良かった。みんな暑がっている顔をしている。  よし、暑さにめげずに仕事している男が演じられそうだ。  駅を出て、会社に向かった。
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