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 カウンターには小さいツリーが置いてある。綿の雪にサンタクロース。世間はクリスマスの準備に余念がない。私は今日気が付いたのに。  コートを椅子に掛けて帽子を脱いだ。しまった、やっぱり髪を結び直してくればよかった。  メニューを見てみると、他の喫茶店と品揃えも値段もさして変わりがない。ごく普通のメニューだ。 「アッサムティーと、チーズケーキ一つお願いします」 「アッサムね」  女の人は後ろの棚からカップを取り出した。丁寧に並べてある。  缶から茶葉を取り出した。銀色の缶に、ラベルに何か書いてあるが……字? 模様の様にも見えるが、規則制があるようで無い。何語だろう? 「とても綺麗なお店ですね」 「そう? ありがとう」  本当に綺麗な店だな。どうして今まで気付かなかったんだろう。 「はい、どうぞ」  飲んでみると、とても美味しい。  チーズケーキも濃くもなく薄くもなく、口の中で蕩ける感じがした。  アッサムの赤い色を引き立てる様に、白いカップを選んだのだろう、気のせいか色も綺麗に見える。 「このお店、いつからあったんですか? 私全然気が付かなくて」 「大分前からあるわよ。ずっと前から」  ずっと前から? 「まぁ、気付かない人の方が多いけどね。ここはそういう店だから」  そういう店?  気付かれにくい、という事だろうか。 「紅茶、美味しい?」 「はい、とても。この間スーパーで茶葉の売り場を覗いてみたんですけど、アッサムの葉ってあんまり売ってないんですね。ダージリンとかは置いてあるのに」 「そうね、ダージリンはメジャーだからね。日本茶みたいな味がするから、日本人には馴染みやすいのかも」  とても話しやすい感じの人だ。  しばらく、二人で紅茶の話で盛り上がった。とても居心地がいい。  時間を忘れて、話し込んだ。なんか、人と会ってこんなに話したのは久々だ。そういえば最近は電話でも、友達と話してない。最後に話したのはいつだっけ?  気が付くと、時計が7時半を回っていた。 「もうこんな時間だ、すみません、長居して……」 「あらいいのよ。私も楽しかったわ」  本当に、楽しかった。ケーキも美味しかったし、今日は晩御飯は食べなくていいや。 「よかったら、お店の中の物見ていかない?」 「あ、はい」  さっきの入浴剤の棚を見てみた。
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