4/4

131人が本棚に入れています
本棚に追加
/187ページ
 よく見ると、入浴剤の隣にサプリの様な物がある。その前に紙にペンでこう書いてあった。 『忘れていた自分を思い出し、今の自分に活力を付ける薬です。純粋な夢を思い出し……』  なんだ、このサプリ。 「あぁ、それは単なるビタミン剤よ」  なるほど。 「よかったら一ついかが?」  私はこの系には全然興味がない。 「はい、では一つ」  私今なんて言った?  なんか、今日の私、おかしい……。普段入らないような店に入ったり、興味のないサプリ買ったり……。まぁいいか、そんな高い物でもないし。  お金を払って、おつりをもらった。 「その薬ね、効果があるのは始めの一回だけだから。後は普通のビタミン剤だから」  え? 普通のビタミン剤じゃないの? 「何回も効果のある人は、よっぽど荒んでる人だから」  ……?  よく意味が分からなかったが、店を出た。  外はもう週末の繁華街になっている。アベックや、何人かの友達連れみたいな人が笑いながら歩いていた。  夜になって冷え込みが増した。風が冷たくなっている。DVDは……まぁいいや、今日はもう帰ろう。  また会社の帰りに寄ろうかな。紅茶もケーキも美味しかったし。  人込みの中、駅に向かって歩いて行った。        
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

131人が本棚に入れています
本棚に追加