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よく見ると、入浴剤の隣にサプリの様な物がある。その前に紙にペンでこう書いてあった。
『忘れていた自分を思い出し、今の自分に活力を付ける薬です。純粋な夢を思い出し……』
なんだ、このサプリ。
「あぁ、それは単なるビタミン剤よ」
なるほど。
「よかったら一ついかが?」
私はこの系には全然興味がない。
「はい、では一つ」
私今なんて言った?
なんか、今日の私、おかしい……。普段入らないような店に入ったり、興味のないサプリ買ったり……。まぁいいか、そんな高い物でもないし。
お金を払って、おつりをもらった。
「その薬ね、効果があるのは始めの一回だけだから。後は普通のビタミン剤だから」
え? 普通のビタミン剤じゃないの?
「何回も効果のある人は、よっぽど荒んでる人だから」
……?
よく意味が分からなかったが、店を出た。
外はもう週末の繁華街になっている。アベックや、何人かの友達連れみたいな人が笑いながら歩いていた。
夜になって冷え込みが増した。風が冷たくなっている。DVDは……まぁいいや、今日はもう帰ろう。
また会社の帰りに寄ろうかな。紅茶もケーキも美味しかったし。
人込みの中、駅に向かって歩いて行った。
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