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見慣れた路地裏。僕はギターと共に立つ。
背中のフェンスの向こうにそびえるビルたちの影が、僕の影を飲みこむ黄昏。
目の前には、僕が今まで出会った人々が、うつ向きながら立ち尽くしている。
みんなが揃って来てくれて、本当に嬉しいよ。
こんな僕に会いに来てくれて…ありがとう。
風がフェンスの際で必死に生きる雑草を揺らす。
もう一曲だけ…あと一曲だけ歌ったら、僕は行かなくちゃ。
だから、これが最後の一曲…。
ちゃんと聞いてください…。
今日という日を、僕は忘れたりしないから。みんなも、どうか忘れないで…。
誰も通らないような路地裏で、みんなに出会った事は、僕の宝物だ。
だから、風が止まないうちに、感謝を込めて歌います。
ほら、風が僕を呼んでいる。
だから、歌います。
上手く歌えたら…手を叩いてください。
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