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こないな事で、わしらの何かが変わるとは思うとらせん。
ほんの少しだけ、母ちゃんとアイの知らんわしを知ってもろただけや。
せやけど、そんな事で笑えるんやったら、それでええと思う。
「オトン、さっき撮った写真、オトンの携帯に送るわ」
携帯電話いじりながら、アイが笑いよる。
「どうやって送んねん?」
適当にギターいじりながらわしは首を傾げてみせる。
「メールで送るねん。…って、オトンのメアド、メモリーされとらへんわ」
「メアド…て何や?」
「…オトン、携帯、貸して…」
呆れた顔でアイはわしの携帯電話を手に、何やらポチポチやりよる。
「…なんや、メアド、買うた時のまんまやん?!」
「せやから、メアドて何やねん?」
「…メールアドレスやん」
そういや、そないなんもあったな。
「んなもん使わんから知らんわ」
「…せやろな。…ええわ。ウチがメアド考えたるわ。…ええっと…」
そう言うとアイはまたポチポチやりよる。
しばらくして、アイはわしの携帯電話と自分のをなんかいじり続けとった。
「…オトン、はい」
「…何か変えたんか?」
「メアド変えたけど…ええやんな?どうせメールすんのウチくらいやろし」
…いんや、わし、今までアイとメールしたことあらへんで。
そりゃ、誰ともしたこと、あらへんけどな…。
「そなら、さっきの写真、送るしな?」
わしに携帯電話を持たせて、アイは自分のを操作しよる。
「…送ったで」
アイがそう言うてすぐ、わしの携帯電話がピロピロリーンって鳴りよった。
わしは驚いて携帯電話を開いてみる。
「な、なんや?なんかメール受信一件って書いてあるで?ど、どないすんねん?どないしたら読めるねん?!」
もうパニックや。
とりあえず適当にボタン押したら時計の画面になりよった。
「わわ?!消してもうたんか?!アイ、すまん!なんや知らんけど、消してもうた!」
「…消えてへん、消えてへん…」
ガックシしながらアイは手の平ヒラヒラさせて、そっとわしの携帯電話を掴む。
「ここにな、手紙のマークあるやろ?これある時は読んでへんメールあるっちゅう事やねん。でな、ボタンにおんなじ絵のやつあるやろ?これ押したらメールのコーナーみたいなんになるねん。そこのな、受信メールを…」
アイは慣れた手つきで携帯電話をいじりながら、わしに説明してくれよる。
…せやけど
…そない早口で言われても
…チンプンカンプンや。
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