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暗部にいた頃の俺からは想像もつかないだろう。
―――命だけは助けてやる。
あいつの声で聞いていた言葉が、俺の口から出た。
俺は自嘲気味に笑って、里へ急いだ。
俺を追ってきた2人の忍は、力量と違って心意気は立派な忍だったらしく、引きはしなかった。
せっかく柄にもなく情けをかけてやったのに無意味な殺生をさせられた事と、あの一瞬の躊躇により少し返り血を浴びてしまった事が、俺を苛立たせていた。
大体、今急いでいる理由だって馬鹿馬鹿しい。
“付き合って一年目の記念日”
ナルトがどうしても2人で祝いたいのだと言った。
今までそんな事した事もなかったし、記念日などさして興味もない。
その前に、誰かと一年続いた事ってあったのだろうか。
その一年記念日とやらをすでに過ぎているというのに、律儀に急いでいる自分に一番腹が立つ。
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