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日差しの暖かい日曜の朝、駅前に、チェックのスカートを風になびかせ、蜘蛛の巣がプリントされたパーカーを着たロクナの姿がありました。
誰かを待っている様子ですが、その表情に苛立ちは見えません。
待ち遠しそうにソワソワして見せたり、何やらニコニコ笑いだしたり、メモ帳を取り出して予定を確認し始めたりと、なにやらとてもワクワクしている様子です。
「あ、ごめんなさい! 待ちました!?」
不意に、聞こえて来たのは剣の声。
その瞬間、ロクナが笑顔を崩して、不機嫌な表情に作り替えました。
「遅いわよ、剣!」
「まだ待ち合わせの15分前ですよ、ロクナさん」
「男は30分前に来てなきゃいけないの!」
「はいはい」
理不尽な要求に苦笑いを浮かべる剣に、ロクナが『んーっ』と唇を突き出します。
「どうしたんですか?」
「どうしたじゃないわよ! 何か忘れてると思わないの!?」
「んー……。分からないです」
すっとぼける剣にたいして、業を煮やしたロクナが顔を真っ赤にして怒りました。
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