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「もっと練習重ねてみますね?あともう1週間ありますし‥また作ってきますからその時は味見をお願いしますね?」
「───あ、ああ‥」
彼女は本当に前向きになりつつあって上手くいけばいいと思うが最近それを寂しく思う自分がいた。
―――最近の自分は一体どうしたんだろうか‥と義高は頭を抱えそうになった。
「義高…君?義高君だぁ♪どうしてこんなトコにいるのー?」
やんわりした甘い声。―――それはより一層義高の鼓動を跳ねさせた。
その人物は義高が避けていた張本人だったから。───今は会いたくない人物だったから。
「ひな…ぎく」
「久しぶりだね、2ヶ月くらい‥かな?あ、クリスマスの日におばさん主催のパーティーサボったでしょー?」
「サボってねぇよ…いたのにお前らが気付かなかったんだろーが」
いつも通りを装って会話をするも、自分の鼓動が速いのがよく解る。
たかが2ヶ月ぶりに会っただけなのに何でこんなに緊張しなきゃなんないのか。
───自分自身が解らない。
「一緒にいるの…もしかして―――彼女さん?」
「ばっ‥ち、ちげーよっ!紅玉はクラスメートだ!」
「紅玉?あ…もしかしてウワサの“いばら姫”ちゃん?」
「ウワサ?」
雛菊の言葉にピクリと彼女が反応を示した。―――自分がウワサで“いばら姫”と呼ばれていたのは知っていたらしい。
いつものようにまたうつ向いてしまった。
「ずーっとうつ向いてた内気な子だったのに最近すっかり可愛くなったねーって♪ウチのクラスでもすっごい話題になってるんだよ?」
「へ…?」
「そっかー…いばら姫ちゃんが可愛くなったのは義高君と付き合い始めたからだったんだねー?」
「───しろよ…」
「え?何か言った、義高君?」
「―――いい加減にしろっ!!!」
しん、と図書室に沈黙が訪れた。
「何で図書室になんか来たんだ、雛菊…」
「い、移動教室の途中‥で…義高君の姿を久々に見たから‥」
「だったらさっさと移動しろよ。こんなトコにいつまでも居座るな」
「っ…どうして義高君そんな言い方するのっ‥?」
「―――お前が俺に構うからだ」
「大事な幼馴染みなんだもんっ…避けられたらどうしたのかな、って思うのは当たり前でしょ?」
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