トビラ。イタミ。ルツボ。

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霧の中。 わからないまま、手探りで。 扉を、開けようと、 伸ばした手を。 悪意のない、言葉の刃が、 突き刺した。 グサリ。 何度も何度も、 心に降り注ぐ。 泣いている。 痛いよ。 いたいよ。 いたいよ…。 どうして…? それは、予想外のデキゴト。 身体が悲鳴を上げて。 うねって、深く深く沈み、 坩堝の、一部になる。 何も、考えられなくて。 何も、考えたくなくて。 これ以上の 痛さを、恐れたから。 霧の中を ぐるぐる回る。 足取りはおぼつかず、 うつろな瞳(め)で、 何かを探して、さまよう。 …いつまで? いつまで、だろう。 もしかしたら、それは。 意識が、覚めるまで、 かもしれない。
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