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「はぁ、はぁ…っ」
息が出来なくなりそう。
それでも、立ち止まるわけにはいかない。
走って、走って。走り続けたら、きっと。
「あっ!!」
扉が見えた、瞬間に。
足がもつれて転倒した。
体を起こそうとするのに、言うことを聞いてくれない。
走り続けたせいで、うまく呼吸も出来ず、咳込んだ。
はっと振り返る。
来た。
来た。
闇が、疾走する。
「あ、」
叫びは恐怖に飲まれて、祈りはこの闇に食べられてしまう。
ぎゅっと目を閉じた、その時だった。
「動くなよ…っ!」
銃声。
体が、宙に浮くような、感覚。
そして、扉は開いた。
眩しい光に目がついていけなくて、何も見えなかった。
ああ。
光だ。
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