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それをわかっているから、緑祥は反論しなかった。
芙蓉が銃を構える。
「行くぞ」
緑祥は、仲間に向かって声をかけた。
今はとにかく、無駄な動きはしないほうがいい。
言われた通り、この場を去ることが今一番の優先事項だった。
去り際。
緑祥は振り返る。
芙蓉の表情は見えなかった。
言いたいことは沢山あった。聞きたいことも。
だが今は、何も言えない。
「お前なんてなぁ、片腕で捻り潰せるんだよ、常磐」
芙蓉が笑ったような気がした。
「私だって強くなったんです!蘇芳様にお仕え出来るくらい…一級戦闘員にまでなったんですから…!」
胸がざわつく。
何故こんなに不安なのだろう?
「全力であなたを倒します、芙蓉先輩!」
まだ、芙蓉には何か秘密がある。
疑惑は生まれ、
「死ぬのはてめーだろ」
声は、迷走する。
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